ベルティングボイスとはどんな声?出し方のコツは軟口蓋の使い方にあった!

「ベルティングボイス」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?

最近ちらほら耳にするようになった
「ミックスボイス」とも「地声」とも違う
新種の声「ベルティングボイス」

今回はこの謎に包まれた声の正体を細かく分析していこうと思います。

それではいってみましょう!!

「ミックスボイス」・「ベルティングボイス」を今すぐ出したい方へ

ベルティングボイスのイメージ

皆さんは「ベルティングボイス」と聞いてどんな声のイメージを持たれるでしょうか?

この言葉を既に知っていた人なら
地声のようなパワフルな音質で高音を出しているイメージ
を想像するのではないでしょうか。

実際にインターネットで検索してみても、パワフルな音質の高音をベルティングボイスと呼んでいる記事が散見されます。

しかし「どのようなメカニズムの発声なのか」「どのように出しているのか」という本当に気になる部分に関してはわからないままです。

今回はイメージだけではない、ベルティングボイスの中身の部分にスポットを当てていきます。

ミックスボイスとベルティングボイスの違い

まずベルティングボイスを語る上での前提として、ボイストレーニングの業界では


●ミックスボイスとベルティングボイスをまとめて「ミックスボイス」と呼ぶ流派

●それぞれを違う発声として分けて考えている流派があります。


こういった「〇〇ボイス」みたいな概念はただでさえややこしくて混乱を招くので、本来なら流派は少ない方が良いのですが、分かれているのにはそれなりに理由があります。

本題に入る前にそれぞれの流派の考え方を紹介することでベルティングボイスとはどのような発声なのかを解き明かしていきます。


ミックスボイスとベルティングボイスをまとめて「ミックスボイス」と呼ぶ流派の考え方



ミックスボイスの出し方を読んでいただければ分かるのですが、ミックスボイスとは



①鼻根(眉間のすぐ下)が響き、首は響かないため、軽くて細い音質になる。
②ボリュームを上げなくても音程を上げられるため、高音域を小さなボリュームで出せる
③裏声へひっくり返ることなく移行することができる。
④最高音は男性C5、女性E5辺りまで拡張される。

①〜④の特徴を持った「地声」のことです。



実は、この点に関してはベルティングボイスも全く一緒で、ベルティングボイスを出している時の体感は
ミックスボイスを出している時とほとんど変わりません。



実際に出し分けられるようになるとわかるのですが、ベルティングボイスとミックスボイスの体感的な違いは「ボリュームが大きいかどうか」くらいです。

まとめてミックスボイスと呼ぶ流派からしたらベルティングボイスは
「でかいミックスボイスじゃん」と感じるのです。

これがミックスボイスとベルティングボイスをまとめて「ミックスボイス」と呼ぶ流派の考え方です。


ミックスボイスとベルティングボイスを分ける流派の考え方



それでは、それぞれを分けて考える流派はどうでしょうか。

この流派の考え方に立つと、ミックスボイスとベルティングボイスには「音の響かせ方」において決定的な違いがあります。

ポイントは「軟口蓋」です。

上の前歯を舌で触って、そのまま喉ちんこの方へ向かって上顎を舌でなぞってみてください。

最初硬い感触だったのが、途中から柔らかい感触に変化する部分があるかと思います。

その柔らかい部分が「軟口蓋」です。



この軟口蓋は上下に動くことで、鼻腔への空気の通り道を遮断したり開いたりする「門」の役割を果たしています。

軟口蓋が上に上がると鼻腔への空気の通り道が遮断されて、空気は口から出ていきます。

軟口蓋が下に下がると鼻腔への空気の通り道が開いて、空気は鼻から出ていきます。



これを歌の世界に当てはめると
軟口蓋を上に上げて口で音を響かせるのが「口腔共鳴」

軟口蓋を下に下げて鼻腔で音を響かせるのが「鼻腔共鳴」
と言われています。




この流派が考えるミックスボイスは
「鼻腔共鳴を使って出しているミックスボイス」のことを指しています。



それに対してベルティングボイスは
「口腔共鳴を使って出しているミックスボイス」のことを指しています。




なぜこのような使い分けをしているかと言うと、
鼻腔共鳴をメインに使った声は「うまくボリュームを大きくできない」からです。

理由はボリュームを上げる際のメカニズムにあります。
ボリュームを上げるには声帯に当てる呼気圧を強めてあげれば良いわけですが、呼気圧を強めればその分息を排出する量も増えます。

鼻腔共鳴をメインに使っている時の主な空気の排出口は鼻の穴になるので、出口が小さ過ぎてうまく空気を排出できないのです。

結果うまく排出されなかった呼気は首の所に溜まっていき、だんだん首がパンパンになって苦しくなっていきます。

これが鼻腔共鳴だとうまくボリュームが上げられない理由です。

それに対して口腔共鳴を使った声は主な空気の排出口が口になるので、首がパンパンになることなくボリュームを大きくすることができます。



だから口腔共鳴を使ったミックスボイスはパワフルな音質になり、ベルティングボイスと呼ばれるのです。



(※1 このコラムはベルティングボイスについてのコラムなので、それぞれの発声を分ける流派の考え方に基づいてこの後も書いていきます。ご了承ください)

(※2 他のDECOミュージックコラムではミックスボイスとベルティングボイスをまとめてミックスボイスと呼んでいますので、誤解なきようにお願いします)

ベルティングボイスとは

さて、前置きが長くなってしまいましたが、ここからやっと本題に入っていけます。



ここまでの話をまとめれば
ベルティングボイスとは「口腔共鳴を使ったミックスボイスのこと」と定義付けすることができます。

ベルティングボイスの正体がわかったところで、ここからはいよいよベルティングボイスの出し方の話をしていきます。

ベルティングボイスの出し方

ベルティングボイスは

①ミックスボイスを出せるようになる
②軟口蓋をコントロールして口腔共鳴が使えるようになる
③男性はC5、女性はE5まで音程が上げられるようになる


この三つの手順で出せるようになります。

ベルティングボイスの練習方法

ミックスボイスの出し方 は←で書いているので、ここでは②・③にフォーカスして具体的な練習方法を紹介していきます。

【口腔共鳴のやり方】

①吸気性裏声

口腔共鳴を使うには軟口蓋を上に上げて口の奥の空間を確保する必要があるのですが、実は軟口蓋を上に上げる筋肉というのが存在していて、それを意図的にトレーニングすることが可能です。

その筋肉は「口蓋喉頭筋」と言って、頭声と呼ばれる「裏声」で鍛えることができます。

頭声は音質が非常に重要なので、まず「吸気性裏声」という発声方法で頭声の音質を理解していただく必要があります。

吸気性裏声を練習するだけでも口蓋喉頭筋は鍛えられるので、音質理解と筋力トレーニングという2つの意味で非常にオススメです。

②吸気性裏声の感覚を活かす

頭声を練習して口蓋喉頭筋が使えるようになってくると、声が軟口蓋の方(斜め上後ろ)へ飛んでいっているような感覚を得ることができます。

実際に軟口蓋が上がっているので、あながち錯覚というわけでもありません。

この感覚をミックスボイスを出している時にも感じられるようにします。

やることは「ミックスボイスを出しながら、声が軟口蓋の方へ飛んでいくイメージを持つ」これだけです。
軟口蓋を限界まで広げるイメージも合わせて持って発声するとなお良いでしょう。

うまくできると、鼻にかかったような音質だったミックスボイスが、母音のハッキリ聞こえる明瞭な発声になるはずです。

余裕のある方はボリュームも大きくしようとしてみてください。
鼻腔共鳴の時と比べてどちらが音量を大きくしやすいか実際に確認してみましょう。

【音程を上げる方法】

ミックスボイスを口腔共鳴させられるようになったら、ボリュームも多少大きくできるようになっているはずです。

ボリュームを大きくするということは声帯により多い呼気をぶつけるということなので、それだけで声帯の振動回数を増やすことができます。

つまり、大きな声を出すだけである程度高い声を出すことができるということです。

地声では到底出せなかった音程も、ミックスボイスを大きなボリュームで出すことによってなら出せる可能性があります。

臆せず大きなボリュームで高音を出しに行ってみてください。

男性はA4以上、女性はC5以上の音程を狙ってみましょう。
地声では出せないはずの音程を狙うのがミソです。

最終的な目標は先程書いた通り男性C5、女性E5です。

うまく出すことがができれば
・高音域
・大きなボリューム
・明瞭な発音
これらを兼ね備えた、まさにベルティングボイスのイメージそのものという声になっているはずです。

ここまで辿り着くのはかなり狭き門ですが、継続して練習すれば必ずできるようになります。

信じてやり抜いてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか!

それぞれ発声が厳密には違う発声だということが少しは理解していただけたのではないかと思います!

このコラムを見てベルティングボイスやミックスボイスが出せるようになりたいと思った方は是非一度立川のボイトレスクール「DECO MUSIC SCHOOL」の無料体験レッスンへお越しください!

それでは!!

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