【ミックスボイスが気持ち悪い声になってしまう原因は筋力不足】鍛えるべき筋肉とトレーニング方法

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ミックスボイスが出せるようになっても、そこからさらに長い長い旅が始まります。


すなわち「好みの音質にしていく」旅です。


「せっかく出せるようになったミックスボイスの音質が気持ち悪くて歌で使い物にならない、、、」


このような悩みはミックスボイスあるあるの一つで、悩んでいる方もたくさんいるのではないでしょうか?


今回はミックスボイスの音質を好みに近づけていく練習を、気持ち悪い音質になってしまう原因と共に紹介していきます!


それではやっていきましょう!!


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ミックスボイスが気持ち悪い声になってしまう原因



ミックスボイスが気持ち悪い声になってしまう原因は「声帯を伸ばす筋力」もしくは「声帯を閉じる筋力」が不足することによって起こる「喉仏の上がり過ぎ」です。


喉仏が上がり過ぎることによって音が響く空間が狭くなり、キンキンした狭くて細い声になってしまうという流れです。


これを解決するためには、声帯を伸ばす運動と声帯を閉じる運動に関わる全ての筋力をトレーニングしてあげる必要があります。


どういうことなのか、詳しく見ていきましょう。


(ミックスボイスが裏声っぽい方はミックスボイスが裏声っぽい場合の対処方法もチェック!)



なぜ筋力不足によって喉仏が上がり過ぎてしまうのか



そもそも、なぜ筋力不足によって喉仏が上がり過ぎてしまうのでしょうか?


これは「喉仏を上げると声帯が閉じやすくなる」という性質が深く関わっています。


みなさん一度唾を飲み込んでみてください。
喉仏が限界までググッと上がるのが感じ取れたのではないでしょうか。


これは、食べ物や飲み物が誤って気管に入るのを防ぐために声帯をがっちり閉じる必要があるから起こる運動です。


つまり、喉仏を上げるだけで声帯は閉じる方向へ向かっていってくれるのです。


それでは、なぜ喉仏を上げてまで声帯をしっかり閉じる必要があるのでしょうか。
普通に喋っている時も声帯は閉じていますが、喉仏が過剰に上がり過ぎることはないはずです。


これはつまり、
普通の力で声帯を閉じるだけでは声帯を閉じ切れない事情があるから、喉仏を上げてまで声帯を閉じようとしている
のだと考えられます。


その事情とは「呼気圧の増加」です。



声帯を伸ばせないと、呼気圧を上げるしかなくなる




ミックスボイスが気持ち悪い音になってしまう時に出している音程は、総じて地声で出すには骨が折れるくらいの高い音程ではないでしょうか?


高い音を出すには声帯を伸ばして声帯の振動回数を増やしてあげれば良い訳ですが、声帯を伸ばす筋肉が仕事をしてくれないと、呼気圧を上げることによって声帯の振動数を増やすという方法を体が勝手に選択してしまいます。


呼気圧を増やせば、それに耐え得るくらいにしっかりと声帯を閉鎖してあげないと、声帯が呼気圧に負けて閉鎖状態が失われ、まともな声にならなくなってしまいます。


だから、喉仏を上げることによる副作用までフル活用しなければならなくなるのです。


この状態だと喉仏が上がるだけではなく、喉全体も力んでなんとか声帯閉鎖を維持しようと体が頑張ってくれてしまいます。


これがいわゆる喉締め発声というやつですね。


この状態を回避するためには
・呼気圧を上げても力むことなく声帯を閉鎖できるレベルの凄まじい声帯閉鎖力
・呼気圧を上げなくても高音が出せるレベルの声帯伸展力


このどちらか、もしくは両方が必要ということになります。


次の章からは声帯閉鎖力と声帯伸展力をどういった筋肉が司っているのか詳しく解説していきます。



声帯を伸ばす運動を行う筋肉達



ここからは具体的な筋肉の名称が出てきます。
漢字が多くなってしまうのでどうしても難しく感じてしまうかもしれませんが、ゆっくりと理解していってください。




輪状甲状筋



声帯を伸ばす運動を行う代表的な筋肉です。


輪状軟骨を甲状軟骨の方へ近づける運動を行うことで、声帯が付いている披裂軟骨が後方へ傾き、結果的に声帯が伸ばされます。



茎突咽頭筋



輪状甲状筋の働きだけだと甲状軟骨も輪状軟骨の方へ傾いてしまうため、声帯の伸ばし具合が減ってしまいます。


そこで、この「茎突咽頭筋」によって甲状軟骨が輪状軟骨の方へ傾くのを阻止し、声帯の伸ばし具合を最大化する必要が出てきます。


輪状甲状筋の働きを最大化するためのパートナーという風に覚えてください。



後輪状披裂筋



声帯を開くための筋肉です。
呼吸する時に必要な筋肉です。


この筋肉が主役となって働いてしまうと声帯が開いてしまい声が出なくなってしまうので、発声時にはあくまでサポート役として働きます。


この筋肉は声帯が付いている披裂軟骨と輪状軟骨の間にある「輪状披裂関節」を支える役目を担っていて、この筋肉がなければ輪状甲状筋が働いて声帯が伸ばされる際に披裂軟骨が声帯の引っ張りに耐えられなくなり、結果的に伸ばし具合が軽減されてしまいます。



胸骨甲状筋



甲状軟骨と鎖骨を繋いでいる筋肉です。
甲状軟骨を引き下げることで、喉仏を下げる役割があります。


輪状甲状筋によって輪状軟骨が傾き声帯が伸ばされても、伸ばした分だけ甲状軟骨が動いてしまったら声帯は大して伸ばされないということになってしまいます。


そのため、この胸骨甲状筋と先程の茎突咽頭筋で甲状軟骨が動かないように固定しておく必要があるのです。


この筋肉も輪状甲状筋の重要な相棒だと言われています。



声帯を閉じる運動を行う筋肉達



声帯を閉じる運動を行う筋肉達も紹介していきます。



外側輪状披裂筋



披裂軟骨を内転させて声帯を閉じる運動を行う筋肉です。


この筋肉が働くことで、声門の後方(背中側)が閉鎖されます。


声帯閉鎖運動の要です。



披裂間筋



披裂軟骨同士を中央へ引き寄せて声帯を閉鎖する筋肉です。


外側輪状披裂筋である程度閉じた声門後方部分を完全に閉じる役割を担います。



声帯筋



外側輪状披裂筋と披裂間筋で声門後方が完全に閉じられても、声門の中央には楕円形の隙間が残ると言われています。


その隙間すら完全に無くし、声門を完全に閉鎖する役割を担うのが声帯筋です。


後に紹介する甲状披裂筋も似たような役割を担っていますが、稼働できる音域は声帯筋の方が広く、より高い音程でも活動することができます。


そのため、ミックスボイスベルティングボイス といった地声のような音質で高音を発声する技術において、この声帯筋は最も重要な筋肉だと言われています。


声帯筋が稼働すると声帯が外側方向へ引っ張られ声門が開いてしまうので、より強い力で声帯を伸ばすことで外側方向へ引っ張る力を相殺してあげる必要があります。


つまり、地声感がある高音を出すにはより多くの声帯伸長力が求められるのです。



甲状披裂筋



最後は甲状披裂筋です。


声帯を思い切り縮ませると同時に分厚くして、声門のわすがな隙間を完全に無くします。


声帯自体を一番分厚くしてくれる筋肉なので、この筋肉が働くと太くて重い音質の地声が発声されます。


甲状披裂筋は男性だとG4、女性はB4辺りで活動の限界を迎えるので、それより高い音に関しては先程の声帯筋のみで声門を閉鎖する必要があります。


声帯筋だけで声門を閉鎖するには先述の通りかなり強い声帯伸長力が必要なので、その土台がまだできていない場合は甲状披裂筋を使ったまま呼気圧で音程を上げるしかなくなります。


これがいわゆる地声張り上げです。



ミックスボイスが気持ち悪い声になる場合の練習方法



ここからはそれぞれの筋肉のトレーニング方法をご紹介していきます。


ミックスボイスが気持ち悪い声になってしまう時は、これまでに紹介した発声主要筋を鍛えることで改善できます。



輪状甲状筋・茎突咽頭筋のトレーニング方法



声帯伸展の要で輪状甲状筋と、そのサポート役である茎突咽頭筋は「頭声」と呼ばれる「音質の柔らかな裏声」を出すことでトレーニングできます。


トレーニングは基本的にロングトーンを用いて行います。


頭声が出せる範囲はF3〜B5と言われているので、この範囲を1音ずつロングトーンして練習していってください。


声帯を伸ばす筋力が足りずに呼気圧で音程を維持しようとし始めると、ミックスボイスと同様に細くてキンキンした気持ち悪い音質の裏声になっていくので、柔らかで広がりのある音質をキープしたままロングトーンすることを最優先に考えてください。


良くない音質の声というのは不必要な筋肉の補助が入った声とも言えるので、トレーニングの負荷が分散してしまいます。


そうなればトレーニング効果そのものが期待できなくなってしまうので、最も重要視すべきは音質なのだと理解しておいてください。



後輪状披裂筋のトレーニング方法



後輪状披裂筋は裏声で鍛えることができるのですが、一番効果が高いのは「息を吸いながら出す裏声」だと言われています。


詳しくは
息を吸いながら出す裏声のやり方
で詳しく説明しているので読んでみてください。



胸骨甲状筋・甲状披裂筋・声帯筋のトレーニング方法



これらは太く深い音質の地声を出すことによって鍛えることができます。


「千の風になって」で有名な秋川雅史さん声を思い出してみてください。


女性ならクレヨンしんちゃんのしんのすけの声を思い出してみましょう。


ああいった太い音質の声を維持したままロングトーンをしてみてください。
そうすることで上記の筋肉が徐々に鍛えられていきます。


最初は出しやすい音程から始めて、1音ずつ音程を上げていきます。


苦しくなってくると太かった音質がどんどん細くキンキンしたものに変わってくるので、そうなる手前まで音程を上げてください。
苦しい音質になってしまうと胸骨甲状筋にうまく負荷がかからなくなってしまいます。


E4くらいまで太い音質を維持したまま出せれば上出来でしょう。


根気強くトレーニングしていってください。



外側輪状披裂筋・披裂間筋のトレーニング方法



外側輪状披裂筋と披裂間筋に関しては声帯を閉じるトレーニングで解説しています。



まとめ



いかがでしたでしょうか!


ミックスボイスが気持ち悪い声になってしまう原因は思ったよりも根深い感じがしたのではないでしょうか?


トレーニングに関しては先述の通り音質が何よりも大切になるので、できればボイストレーナーの指導の元行うのがベストです。


やり方がわからない方や、練習に不安がある方は是非

無料体験レッスン にお越しください。


それでは!