【歌ってみた】ボーカルピッチ補正のやり方 -初心者編-


こんにちは!
Deco Music School 講師の齋藤駿平です。

今回は、ボーカルミックスにおけるピッチ補正のやり方についてご紹介致します。

ピッチ補正はプロの現場でも行われ、音程のブレや抑揚を修正、より綺麗なメロディーラインを作り出し、楽曲に組み込む作業です。また、歌ってみた動画を制作する際にも活用できるスキルとなっています。
これから歌ってみたの投稿を考えているルーキーの方には大きく変化を実感してもらえると思います。

必要なものはDAWソフトになります。無料版のDAWソフトでは、ピッチ補正の機能がついていないものもありますので、ご注意ください。

【ピッチ補正機能がついているDAWソフト】

・Cubase Pro
・Studio one Professional Aritist (体験版:使用制限あり)
・Logic Pro X
・Pro Tools Ultimateなど

スケールを把握しよう

早速、DAWソフトでピッチ補正をやっていきたいところですが、まずは事前知識を補填していきたいと思います。

ピッチ補正のメイン作業はズレている音を基準値に戻してあげる作業になります。そのため、基準値の音階を把握していなければ、どこを修正したら良いのかが分からりません。

そこで、必要になってくるのがスケールです。音楽は基本的にコードにメロディが載っています。そして、そのコードに載せて良い音階、またはそのコードに対して気持ちい良い音階があります。その音階のルールを守ってあげることで、気持ち良いメロディラインが生まれるのです。

かえるのうたを例に挙げてみましょう。
この楽曲のキーはCメジャー/Aマイナーキーになります。使っているコードはCメジャーダイアトニックコード(C,Dm,Em,F,G,Am,Bm-b5)から構成されており、簡単にまとめると、ピアノの白鍵部分(ドレミファソラシド)からコードとメロディーが作られています。



かえるのうたのピッチ補正を行う場合、メインメロディがコードに対してドレミファソラシドに載っていなければならないのです。

レコーデイングした歌に『ド#、レ#』などの黒鍵部分が含まれていた場合、スケール内の『ド、レ』に半音下げたり、上げたりして基準値に収めてあげる必要があります。この作業がピッチ補正です。

そして、この『かえるのうた』で使用されているスケール名がCメジャースケール/Aマイナースケール(ドレミファソラシド)になります。

総括しますと

1.楽曲のキーを探す(譜面、耳コピなどで)
2.使用されているコードを割り出す
3.コードから使用されているスケールを導く

このような段階を踏んでスケールを把握し、ピッチ修正の作業へシフトしていきます。

楽曲のキーが変われば、当然スケールも連動して変わります。

また、かえるのうたに使用されているコードは全てダイアトニックコードで構成されていますが、そのキーのダイアトニックコード以外を使用しているノンダイアトニックコードと呼ばれるものもあります。
ノンダイアトニックコードは、簡単にいうと他のキーから借りてきたコードといった立ち位置になります。部外者のコードいった感じです。

Cメジャーキー/Aマイナーキーの曲にE7というコードが入っていた場合、ノンダイアトニックコードと断定できます。本来であればCメジャーダイアトニックコードのEmのポジションにメジャーコードのE7がいるという感覚です。

よってEmの構成音(ミソシ)とE7の構成音を比べると(ミソ#シレ)になっています。
ソ#は(ドレミファソラシド)に含まれていないため、ノンダイアトニックスケールであり、Cメジャー/Aマイナースケールは適応されません。





そのため、楽曲中でE7が出てくる小節はソではなくソ#を歌わなくてはいけません。このようなルールを把握するためにも、譜面を見てコードアナライジングをする必要があります。



ちなみにE7で使われるスケール名はAマイナーハーモニックスケール(ラシドレミファソ#)となります。

楽曲のコード進行を見て、スケールを割り出す力を身につけておきましょう。

音楽理論を使わずにピッチ補正を行う方法

スケールを扱わずにピッチ補正をする方法も存在します。ですが、このやり方は上級者向けです。

これまで紹介した方法は音楽理論を用いた確実な方法になりますが、今回は自分の音感頼りの方法となります。なので、相対音感が優れている方、絶対音感を持っている方が対象になります。

やり方は単純で、原曲のメロディラインを覚えて、それを基準にボーカルが低いか高いかを見極めていきます。原曲を何回も聴くか、普段から音感トレーニングを行うことで、訓練するのも良いと思います。

先ほど、紹介したノンダイアトニックコードの判断が難しいと感じる方は、そこだけ耳頼りでやってみても良いかと思います。極論、コードに対して気持ちい音が載っているか、載っていないかの問題です。理論的に行っても、最終的には耳で確認を行います。

-実践編- DAWソフトでピッチ補正

DAWソフトによって付属するピッチ補正ソフトが異なります。

Cubase : VariAudio
Sudio one : Melodyne
Logic Pro X : Flex Pitch
Pro Tools : Melodyne

使うソフトやシステムは違いますが、作業内容は同じです。今回はCubaseを使用します。



ボーカルをレコーディングしたオーディオトラックをダブルクリックし、VariAudioをクリックします。



すると、オーディオの波形からノートに変換され、打ち込みのような画面に変換されます。ここから、これまで紹介したスケール理論に沿って修正していきます。
その他にも細かい抑揚の調整やメインメロディ到達までの刺繍音の調整が可能です。

まとめ

今回は簡単なピッチ補正のやり方をご紹介しました。ピッチ補正は奥深いツールですので、他にも細かい工夫やコツが存在しますので、また別の機会で投稿できればと思います。

最後にボーカリストの方は、普段からコード感を意識して練習していただくことと、ミックスを行うエンジニア志望の方は、ある程度の音楽理論の知識と音感を鍛えておくとより良い作品作りに繋がると思います。

これはオリジナル曲の場合でも活用することができます。

また、ボーカリストの方はレコーディングした際、どこで自分の音程がずれているのか、どのように抑揚がついているのか確認できますので、みなさん是非トライしてみてください。

DTM教室の特徴

1、経験豊富な講師陣。現在も現役の作曲家、作詞家、アレンジャーです。
2、機材はいりません!スクールにある機材で始められます。
3、ミックス・マスタリングも学べます。

DTM教室の詳細はこちら
無料体験レッスンはこちら