ハードライトモードでイラストの雰囲気を変えてみよう!
こんにちは。イラストコース担当の皐月です!
今回は「レイヤーのハードライトモードを使うと絵の印象がなぜ変わるか」を、一緒に見ていきましょう。
実はこのモード、ただの明暗調整以上に“絵の雰囲気”をガラっと変える力があるんです。
その秘密を分かりやすく3つのポイントで解説します。
① そもそもレイヤーのハードライトモードってどういうもの?
まずデジタルイラストにおいて「ハードライト(Hard Light)」という描画モードが何かを整理します。
多くのイラスト描画ソフトや画像編集ソフトではレイヤーを使用する際「通常(Normal)」モードのほかに、「乗算(Multiply)」「スクリーン(Screen)」「オーバーレイ(Overlay)」など複数のブレンドモードが用意されています。
その中で、ハードライトは「乗算(暗くする)」と「スクリーン(明るくする)」の両方を合成したモード。
前面レイヤーの色(ブレンドカラー)の明るさが、ある境目(多くのソフトでは“50%グレー”あたり)より明るければスクリーン処理、暗ければ乗算処理、という形で合成が切り替わります。
簡単に言えば、「強いスポットライトを当てたような光と影のコントラスト」を同時に1枚のレイヤーでつけられる便利なモード、それがハードライトの基本的な特徴になります。
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② ハードライトモードはイラストのどんな表現に向いているの?
では、このモードは一体どんなときに役立つのでしょうか。
このレイヤーモードが得意なことは主に2つあります!
1つ目は強い光源による“ハイライト”や“シャドウ”の演出
たとえば夕焼けの光、スポットライト、ネオンの光など、明暗差が大きく、「ここは光が当たる」「ここは影になる」とコントラストをはっきりさせたいとき。
ハードライトなら、明るい部分は白に近づき、暗い部分は濃く沈むため画面に強いコントラストが生まれます。
実際によく使われるのはレイヤーに “強い光を当てたような仕上げ” を加えたいときなどです。
2つ目は画面全体の印象をドラマチックにする
普通に塗ったフラットな色や影だけでは地味に見えるところに、ハードライトで光と影を描き込むことで、一気に雰囲気や奥行きが出ます。
特にキャラクターの陰影、衣服の皺、質感、あるいは光と闇のコントラストを強調したいときに有効です。
多くのデジタルカラーにおいて、彩度と明度の両方をコントロールしやすいので、「ポップ/鮮やか」な表現でも「暗くドラマチック」な表現でも対応しやすいです。
ただし逆に言い換えるとそのぶん“強さ”が出やすいので、不透明度を少し下げたり、レイヤーマスクで調整したりする配慮が必要なので色々試してみることをお勧めします!
③ ハードライトモードでイラスト全体のイメージを変えるとどうなる?
では、ハードライトモードを使ったとき、実際にイラストはどんな変化を見せるかお伝えしましょう。
1. コントラストとメリハリが強くなる
淡色ベースだった絵が、一気に光と影の差がはっきり。
特に明部が輝き、暗部が深く沈むことで、輪郭や立体感がグッと強調されます。
これで、フラットな塗りよりも立体感のある、リアル寄りやドラマチックな雰囲気を作りやすくなります。
2. 色の雰囲気や時間帯、照明の「空気感」を演出しやすくなる
たとえば夕焼け、室内の間接照明、ネオンサインのような人工光源など、「ただの色」ではなく「光が当たっている感じ」を出したい場面で効果的。
色を塗った後にハードライトレイヤーを重ねるだけで、「時間帯」や「光源の種類」の違いを表現しやすくなります。
3. “メリハリの効いた絵柄”という印象に仕上がる
商業イラスト、漫画、キャラ絵、ファンタジー風景など、多くのジャンルで使いやすい。
特に「色を強く魅せたい」「立体感を出したい」「ドラマ性を出したい」とき。
逆に、淡くソフトな雰囲気を目指すなら不透明度を調整するなどの工夫も必要ですが、うまく使えば「力強さ」と「深み」が出せます。
私自身も、あるイラストで「夕暮れに照らされたキャラ」を描くとき、まずベースを塗ってから、別のレイヤーをハードライトにしてオレンジ〜赤紫のグラデを重ねただけで、まるでその場に光が差しているかのような空気感が出たことがあります。
本当に驚くくらい変わりました。
ちょっとした使い方のコツ
•不透明度を100%にせず、60〜80%くらいに抑えて使うと、自然な仕上がりになりやすいです。
•ハードライトレイヤーにマスクをつけて、必要な部分だけ光や影をのせる。
全体にかけすぎると「くっきりしすぎた絵」になってしまうので注意。
•光源の色を考えて、ベースの色とハードライトの色を調整する。
たとえば夕焼けならオレンジ、月光なら青み、ネオンなら鮮やかな色など、光の「色」をイメージしておくと良いでしょう。
まとめ
デジタルでイラストを描くとき、「光と影」「雰囲気」「ドラマ性」を加えたいときにそれを一気に引き出してくれるのが「ハードライトモード」です。
このモードは、乗算とスクリーンを組み合わせ、「強いスポットライト」を表現するような働きをします。
だからこそ、色塗りや影付けのあとに重ねるだけで、絵の印象が劇的に変わります。
コントラスト、立体感、空気感……。
どれもが強化されて、平面的だった絵が“臨場感のある絵”へと変わります。
もちろん、やりすぎは禁物。「強すぎる光」「不自然な影」は逆効果。
でも、不透明度やマスクを工夫すれば、淡さも柔らかさも、強さも思い通り。
あなたのイラストにも、ぜひこのハードライトモードを取り入れてみて下さいね!
それではまた次回もお楽しみに!皐月でした。
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