ブレスを使いこなそう(後編)

こんにちは!
DECO MUSIC SCHOOLの小笠原 桜子です👩🏻🚀🩰
相変わらず気温差が激しく暑かったり肌寒かったりしますが、しっかりと体調を整えて夏に備えましょうね🌿
さて、前回のブログではブレスについてのお話をしていきました。
今日はつづきのお話です。
歌の基本は腹式呼吸
ですが、歌い方にたくさん種類があるように
ブレスも表現によってさまざまに変化をつけることができます。
口から吸うのか鼻から吸うのか
短く一瞬でとるのか時間をかけてゆったりとるのか
浅いか深いか
さらには腹式呼吸よりも胸式呼吸の方がベストなときもあります。
大切なのはフレーズ直前のブレス。
どうブレスを取るかで曲の雰囲気やイメージが変わってきます。
単なる息継ぎにならないよう、
どういう時にどんなブレスが効果的かを見極めるセンスを養って歌に活かしていきましょう。
テンポに合ったブレス
次に歌うフレーズのスピードに合わせてブレスを取ってみましょう。
ゆったりしたテンポを歌うときはゆっくり時間をかけてブレス
速いテンポを歌うときはすばやく一気にブレスをとります。
速い曲を時間をかけてゆったりブレスして歌い始める人はあまりいないのですが、
ゆったりした静かなフレーズの直前でも構わず一瞬で一気にブレスをとっているのであれば少し注意してみてください⚠︎︎
その一瞬のブレスで表現の幅が狭まってしまったり
世界観が崩れてしまってはもったいないです。
歌い出しより2拍〜4拍前から鼻呼吸でゆっくりブレスをとってみましょう。
歌いやすさ、表現したい世界観がより強く表される方を聴き比べてより良い方を選択してください。
ブレスの量をコントロールする
実は、ブレスはたくさん吸えば吸うだけいい!というわけではありません🙅🏻♀️
フレーズを一息で歌い切るのに必要な分だけ吸う、というのが正しい理解です。
短いフレーズでは吸いすぎない
長いフレーズならたくさん吸う
フレーズの長さに合わせてブレスを取るというのも歌うまの大きな加点ポイントです◎
ポイントは息を吸いすぎないこと☝🏻
必要以上にブレスをしてしまうと肺に息が残ったままになり、次のフレーズで上手にブレスがとれないことがあるので注意が必要です。
ブレスはフレーズを一息で歌い切る分だけで充分です!
調整しながら歌ってみましょう🎼
ブレスの量:ミュージカルソングへの応用
普通にしゃべるとき、人は無意識に呼吸をしながら会話を繋いでいますね。
テンションが高いときは自然と呼吸が浅くなっているものですし、怒りをぶつけたいときは腹の底まで空気を溜めて相手を詰めたり、興味のない「へー」を言うときなんて息を吸っているかも曖昧です🙄💬
このような日常会話で普通に行っている 自然な呼吸 を歌の中にも落とし込めると最高です!
ブレスも音楽だ、なんて耳にしますが
ミュージカルソングを歌うならぜひともブレスさえも表現に加えていきたいところです!
例えば
『エリザベート』の『愛と死の輪舞』歌い出し
エリザベート 今こそ黄泉の世界へ迎えよう
この歌い出しはしっかりブレスの準備が必要ですね。
鼻で吸って 横隔膜を下げてたっぷり息をとって準備しています。
ブレスの音が入ると人間味が出てしまうので、細く長く時間をかけてブレス。
この細く長く息をとっている瞬間が死の世界へと誘っているようで緊張感を高めて没入感を与えてくれます。
『レ・ミゼラブル』の『恵みの雨』
こちらはエポニーヌ撃たれていますので
たっぷりお腹にブレスをとることはできません。
フレーズごとに口呼吸で浅く肺に最小限の息を入れて絞り出すように歌っています。
『パート・オブ・ユア・ワールド』の歌い出し
よく見て 素敵ね
ブレスしなくていい場所は吸わないというのも必要なスキルです。
「よく見て」のあとにブレスは必要かどうか
フレーズを一息で歌い切る分だけという原則に従うのであれば
「よく見て」「素敵ね」でそれぞれ短くブレスをとるより「よく見て 素敵ね」
でワンフレーズと捉えて大きくブレスをとる方が陸への憧れを一緒に胸に吸い込んでいるように見えるので私は適していると思います。
フレーズの長さや曲のニュアンス、状況、感情に合わせてブレスも変化が必要です✨
高音に挑むためのブレス
息をとるだけでなく、
次のフレーズの歌い出しの音程に合わせて
ピッチを調整していくのもブレスの役目です。
特に高音の前、勢いで声を張り上げて高い音を出していたのなら
ブレスの最中に高音を出す準備をするクセをつけてみましょう。
具体的には
ブレスをとるときにのどの開き具合も一緒に調整したり
どこに息をあてるのか、どこに響かせて歌うのかをイメージしておく
などの確認を行いながらブレスをします。
『ウィキッド』の『自由を求めて』
大空高く 舞い上がるの
この歌い出し前には高音を出す前の準備が不可欠ですね
軟口蓋を上げてのどを開けておくこと
横隔膜を下げてたっぷり息をとっておく
胸郭を広げて背筋にも支えを作っておく
オ母音に合わせて口の中の形を決める
ミュージカルではロングランともなれば
毎回のステージで安定した歌唱力を保たなければなりません。
当たって砕けろで一か八かで高音に挑むのはご法度!
どういう時にどんなブレスが効果的か
しっかり研究して安定した歌唱に活かしましょう。
ブレスの場所は決めておく
ブレスのタイミングを具体的に決めて歌詞カードにチェックを入れて計画的に吸ってみましょう。
アーティストがどこでブレスしているのか聴いてマネしてみるのも良い方法です。
それでいて「自分はここでも吸わないと続かないな」と思うところや「ブレスを入れない方がスムーズに歌えるな」など、いろんな発見があるかもしれません。
最終的には自然にブレスをとれるようになるのがゴールです。
その成長の過程で見つけた発見をうまく磨いて自分の表現や個性に活かすことができますように…!🍀