【プロ歌手はなぜミックスボイスを使うのか】地声を使わない理由を歌手別に解説

この記事の執筆者

石川彰貴先生のプロフィール






高音を楽に地声のような音質で発声する技術である「ミックスボイス」

最近は耳にする機会も多くなってきたんじゃないかと思います。

今回は実際にミックスボイスを使って歌っている歌手を紹介していきながら、ミックスボイスのメリットと「なぜ地声ではダメなのか」を解説していきます。

それではどうぞ!!

ミックスボイスとはどういう声なのか

みなさんはミックスボイスと聞いてどんな声をイメージするでしょうか?

「地声と裏声はなんとなくイメージが湧くけど、ミックスボイスはよくわからない」という方が多いのではないでしょうか。

その理由の一つとして、ミックスボイスは音質が地声とかなり似ており、パッと聞いただけでは地声との区別がつきにくいという点があります。

しかし、ミックスボイスには地声には無い特徴がいくつかあり、明確に区別することができます。

ミックスボイスの特徴

ミックスボイスは
・高音域でも音量を小さくできる
・裏声とスムーズに繋がる
・地声よりも高い音が出やすい
・地声に比べて細くて軽い音質

などといった特徴があります。

(音域の違いに関しては詳しく知りたい方は
https://deco-music.jp/voice-training/highvoice/blog/5699/
↑こちらをご覧ください)

反対に地声は
・音量を上げないと音高を上げられない
・裏声と繋がらない(接続しようとするとひっくり返ってしまう)
・高音に限界がある(男性G4、女性B4)
・太くて重い音質

という特徴を持っています。

音の太さ・迫力に関しては地声が有利ですが、その他の使いやすさはミックスボイスに軍配が上がります。

これに関しては楽曲のジャンルや表現によって使い分けるのがベストですね。

今回はこれらの特徴を元に、ミックスボイスを使いこなす歌手を紹介していきたいと思います。

地声とミックスボイスの聞き分け方

本編に入る前に、実際に地声からミックスボイスに変化する瞬間を聞いていただきたいと思います。

オペラ歌手の方のYoutubeにその瞬間がありました。

本人達は「ミックスボイスではない」と明言していますが、ミックスボイスの定義は人によってバラバラなのでこういったことが起こります。

この動画の13分13秒のところ(ちょうどG4の高さになった瞬間)から音質が若干変わったのがわかるでしょうか。

倍音がものすごいので少しわかりづらいかもしれませんが、明確に音質が変わっています。
この音質が変わった後の声がミックスボイスです。

生声で歌を届けるオペラと、マイク有りが前提のポップスでは倍音の大きさに決定的な差がありますが、基本は同じです。

この声は地声の延長のように聞こえますが、全く違う声なのです。

ミックスボイスが上手な歌手

①藤井風さん

藤井 風「きらり」

あまりミックスボイスを使っているイメージはないかもしれない藤井風さん。

しかし、この方は紛れもなくミックスボイスの使い手です。

1分12秒辺りの「連れてーえって」の部分。

「連れて」の「て」はB4(高いシ)の裏声で出されています。

重要なのはその次です。

「えって」の「え」は高さがF4#で地声のような音質で出しているように聞こえます。

試してみていただきたいのですが、F4#という高さをここまで優しく出せますでしょうか?

藤井さんはB4の裏声とほとんど質感が変わらないくらいに優しくF4#を出されていますが、ミックスボイスが使えず地声で歌っている方は、F4#をここまで優しく出せないのです。

地声は「ボリュームを上げることで音程を上げる」発声方法なので、F4#ほどの高い音はどうしても張り上げたような音質になってしまいます。

そうするとB4の裏声と質感がかなり変わってきてしまい、この曲が持っている柔らかいテイストが崩れてしまうのです。

先程のミックスボイスの特徴のところにも「高音域を小さいボリュームで出せる」と書かせていただいたのはこれが理由です。

ミックスボイスなら高音でも地声感を保ったまま囁くような優しいニュアンスで発声することができるのです。

②Official髭男dism 藤原聡さん

Official髭男dism 「Subtitle」

言わずと知れたハイトーンシンガーの藤原さん。
ミックスボイスといえばこの方というイメージも強いのではないでしょうか?

高音もそうですが、藤原さんの場合低音からして違います。

この曲の最低音はB3♭。

ミックスボイスが本格的に始まってくるのはC4辺りからですが、B3♭でも出そうと思えば難なく出せます。

何が言いたいかというと、ヒゲダンの曲はほとんどの曲がミックスボイスで出せる範囲内に収まっているんです。

ミックスボイスは限界まで下がればG3辺りまで下がれるのですが、ヒゲダンの代表曲である「Pretender」の最低音もG3です。

つまり藤原さんは、一曲まるごとミックスボイスで歌っている可能性が高いということです。

比較として、同じくハイトーンで有名なMrs.GREEN APPLE「僕のこと」の最低音はC3です。
改めてボーカル大森さんの音域の広さには驚かされますが、ミックスボイスだとC3までは絶対に下がれないので、確実に地声も使わないと歌えない楽曲となっています。

男性が歌う楽曲であれば「僕のこと」のように地声も使わないと歌えない場合がほとんどなので、最低音ですらミックスボイスの音域に収まっているヒゲダンの楽曲はかなり特殊であると言わざるを得ません。

さらに付け加えると、藤原さんは低音部をウィスパーボイスのような優しい音質で歌われることが多いイメージですが、これはミックスボイスで歌っていると自然とそうなります。

ミックスボイスは裏声が出せる範囲でしか出せないので、下がれば下がるほど出しづらくなっていきます。
そのため、音程が下がれば自然とウィスパーボイスのような音質になっていってしまうのです。

高音から音程が下がってくるところや、文節の語尾などは優しく出してあげると自然な抑揚がついてかっこよくなるケースが多いので、ミックスボイスの低音がウィスパーボイスのようになってしまうという欠点も抑揚の観点から見れば長所になっているわけですね。

ミックスボイスの長所と短所を上手く使いこなして楽曲に活かしている藤原さんは、間違いなく日本を代表するミックスボイスの使い手と言えると思います。

③Superfly 越智志帆さん

Superfly 「愛をこめて花束を」

この方も歌唱力に定評のあるシンガーですよね。

Liveの映像を添付させていただきましたが、歌っている時の口の開きと首の角度に注目してください。

高音になると、口を大きく開けて若干上を向くことが多いことに気付きますでしょうか?

これはミックスボイスあるあるですが、ミックスボイスは首(喉)の共鳴を使わない発声方法なので、鼻や軟口蓋に響かせるしかありません。

鼻だと細くて鋭い音質になってしまうので、越智さんの場合は軟口蓋の響きをメインで使っています。
これがいわゆる口腔共鳴というやつですね。

軟口蓋へ思い切り音を当てようと思うと、自然と口を大きく開けて、少し上を向きたくなってしまうのです。

迫力という面を考えれば喉の共鳴を使うのが1番良いのですが、響きは音程と共に上下する性質があるので、この曲の高音域では残念ながら使えません。

余談ですが、無理に喉に響かせたまま上がることを「プルアップ」とか「地声張り上げ」と呼びます。

越智さんのようなパワフルなミックスボイスについてさらに詳しく知りたい方は

https://deco-music.jp/voice-training/highvoice/blog/5747/

↑こちらをご覧ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか!

ミックスボイスは昨今のJ-POPを歌う上で欠かせないスキルとなっています。

DECOミュージックスクールではミックスボイスのレッスンを行っており、ミックスボイスの理論から出し方まで幅広く指導しています。

ミックスボイスを出せるようになりたい方はぜひ
無料体験レッスンへお越し下さい!
https://deco-music.jp/freelesson/

それでは!