高い声を無理なく出すために必要なこと
こんにちは、DECO MUSIC SCHOOL です。
高音を出す練習は、歌の中でも多くの人がつまずきやすいポイントのひとつです。
ただ力任せに頑張るのではなく、体の仕組みや発声の原理を理解しながらアプローチすることで、喉への負担を減らしつつ安定した高音が出せるようになります。
今回は、私自身の実体験も交えながら、高音発声に必要な考え方やトレーニング法を段階的に解説していきます。
なぜ高音が出ないのか?その理由と勘違い
高い声が出せないのは「才能がないから」と思い込んでいる人も多いですが、
実は多くの場合、体の使い方や意識の方向がズレているだけです。
喉で押し出そうとする力みが原因
高音を出そうとすると、つい「うーん!」と力んでしまうことがあります。
これは、喉の筋肉に余計な力が入ることで声帯が硬直し、
逆に声が出にくくなってしまう原因になります。
喉をグッと締めて声を出すのではなく、声帯のコントロールと息の流れを意識することが重要です。
また、力むことで今までちゃんと流れていたはずの空気の流れをせき止めてしまったり、逆に流しすぎてしまったりします。
小川のせせらぎのように「細く、でも確実に」流し続けるよう意識しておいてください。
高音=大声ではないという落とし穴
「高い声=大きな声」と思っていませんか?
実際には、高音ほど繊細なコントロールが求められます。
むしろ無駄に力を入れると音が割れたり、裏返ったりしてしまうことも。
力を抜いたまま、必要な最小限のエネルギーで発声できるかがカギになります。
そうすると、「力入れないと高い声でなくない?」という声が聞こえてきそうですが、エネルギーを割く部分が違います。
空気の量や喉の力にエネルギーを割くのではなく、「空気の向きや、いかに空気をまとめるのか」の方にエネルギーを割くべきです。

ミックスボイスやヘッドボイスの理解不足
高音域の発声では、地声のまま無理に上げようとするのではなく、ミックスボイスやヘッドボイスへの切り替えが必要です。
これらの声区の切り替えを知らずに地声で突っ込んでしまうと、どうしても限界がきてしまいます。
今回は比較的レンジが広く、扱いやすいミックスボイスを中心にお話していますが、
後々ヘッドボイスの話にもつながるので、まずは取り組みやすいミックスボイスから練習して行きましょう。
高音を出すために必要な体の使い方
高い声を出すには、体の一部だけでなく「全身の連動」が重要になります。
この章では、特に意識したい体の使い方を解説します。
腹式呼吸で支えを作る
まず基本となるのは腹式呼吸。
高音を出す際、息の圧力を一定に保ち、声を安定させるためには、横隔膜と腹筋を連動させた呼吸が必要です。
「吸うとお腹が膨らむ/吐くとへこむ」 この自然な流れを、発声時にもそのまま応用します。
特に高音に入る瞬間は、下腹部でぐっと支える感覚があると、ブレずに声を出すことができます。
この支えを作るのが腹圧です。
腹圧をしっかりかけたいので、腹圧をかけやすい体勢を取りましょう。
例えば、テニスでレシーブする前の構えだったり、バスケでシュートを打つ前の姿勢ですね。
重心を低く、すぐ走れるように少し前に設定し、背筋を真っ直ぐ保ちます。
すると腹式呼吸がしやすくなります。
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姿勢と脱力のバランス
正しい姿勢と「脱力」はセットで考えるべき要素です。
猫背になったり、首が前に出た状態では、声帯に無理な圧がかかってしまいます。
逆にピンと立ちすぎて体に力が入っても逆効果。
理想は「背筋は自然に伸ばしつつ、肩・首・喉の力は抜けている状態」。
高音になるほど「リラックスして出す」意識が大切になります。
理想は人体模型!力まずに正しい位置に骨があります。
空気の流れを考える
高い声を出すためには、早い、まとまった、圧力のある空気が必要です。
試しに、手を温める時のように「はぁ〜」と息を吐いてみてください。
そうすると温かい空気が流れると思います。
その空気は流れが遅く、遠くまでは飛ばない空気です。
では、ろうそくを消す時のように「ふぅー」と吹いてみてください。
冷たい空気に変わりましたね。流れも早く、軽い力で遠くに飛ぶ空気です。
この冷たい空気を「あ」の口で出せたら高い声を無理なく出せる第一歩になります。
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音の響きを整える
高音は、声帯だけでなく響き(共鳴)で楽に出せるようになります。
今回は「縦に口を開く」ことを考えましょう。
1文字ごとにアホづらをするようなイメージで、顎を真下に落としましょう。
硬口蓋もしっかり引き上げ、上下にスペースを作るとうまくいきます。
高音域を広げるための練習法
実践トレーニングに移ります。
ここでは、高音域を広げるための具体的な練習メニューを紹介します。
焦らず、継続的に取り組んでみてください。

空気の流れ
では冷たい空気を作るための練習方法についてお話しましょう。
上記にもあるように、「ふぅー」っと吐いた時の冷たい息を「あ」の口のまま吐きます。
基本的に硬口蓋にあたれば冷たい息になります。
まずは当てる場所を知るために、「あ」の口のまま、お腹を殴られたと思って「ゔゔぅっ」と言ってみてください。
そうすると声が硬口蓋に当たりませんか?
それを確認できたら、殴られた苦しみを取り除いて「ううぅ」と言ってみてください。
同じところに当たりますか?では空気を同じ要領で当ててみてください。
「h〜」という感じになりますかね?
もっと空気をまとめるために少しだけKをつけて「kh〜」と吐いてみると、いかがでしょうか。
「あ」の口で冷たい空気が出てくるかと思います。
この空気に声を乗せれば楽な発声のできあがり!
空気が当たってたところに声を当てるだけです。
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脱力の確認
「プルルルル…」と唇を震わせるリップロールは、顔や口、喉の力みを取るための定番練習です。
高音発声の前に行うことで、余計な力みをリセットしやすくなります。
また、犬が「クーン」と泣く時の声真似をしてみてください。
そのままエッジボイスまで行きましょう。
声帯周辺も力みが取れやすくなります。
顎の落とし方
顎は真下に落とします。
今回は縦に開きたいので、下顎の動きは非常に重要です。
脱力ついでに真下に顎を落としてください。
人間の顎の構造上、真下に顎を落とすと少ししゃくれます。
もみあげのあたりがモコっと盛り上がってしまうようであれば、関節がはずれている=やりすぎです。
外れない範疇でやってください。
「ニャー」で同時にトライ!
上記全てができたら、くっつけます。
・犬の鳴き真似「クーン」で声帯のリラックス
・リップロールで顔や口のリラックス
・冷たい空気で
・口を縦に開いて
「にゃー」
と言ってみてください。力を入れずとも、ちゃんと響く声が出ませんか?
できたら、歌詞を「にゃー」に置き換えて歌ってみましょう!
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よくある質問Q&A
Q1. 高音を出すとすぐ喉が痛くなるのですが、どうすればいいですか?
A1. 喉に力を入れて押し出すと声帯が硬直しやすく、痛みにつながります。 まずはリップロールや犬の鳴き真似→エッジボイスで脱力を確認し、 冷たい空気の流れ(「ふぅー」)を「あ」の口で作ることを意識して発声すると、喉への負担が軽減されます。
Q2. 高音は大きな声で出さないといけませんか?
A2. いいえ。高音ほど繊細なコントロールが必要で、大声は不要です。 空気の向きとまとまり、そして響き(共鳴)を整えることで、力まずに高音を響かせられます。
Q3. ミックスボイスやヘッドボイスの切り替えが難しいです。
A3. いきなり歌で挑戦せず、エッジボイスや「にゃー」練習で声帯周りを慣らし、 少しずつ高音に移行すると自然に切り替えがしやすくなります。毎日の短時間練習で感覚を積み上げましょう。
Q4. 高音の練習は毎日やった方がいいですか?
A4. 無理のない範囲での毎日練習は効果的です。 ただし違和感や痛みが出たら休むこと。短時間でも継続することが上達への近道です。
まとめ
高い声を出すために必要なのは、力技ではなく繊細なバランス感覚です。
体の使い方、発声の仕組み、そして日々の練習。
それぞれを丁寧に積み重ねていくことで、少しずつ高音は「届く」ようになります。
焦らず、毎日の積み重ねを楽しんでください。
あなたの声は、きっともっと自由に羽ばたけます。
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