【巻き舌】ができない人の特徴とは?〜原因と練習方法〜

巻き舌(トリル)は、発声や滑舌練習として非常に有効なテクニックですが
「できない…」と悩む方は少なくありません。
実はこの巻き舌、ただの“舌の運動”ではなく
いくつかの要素が複雑に絡み合っています。
巻き舌の仕組み
夏場の家電売り場においてある扇風機と同じだと思ってください。
扇風機には風量を示すためにすずらんテープが取り付けられていると思います。
それが舌だとしたら、安定して同じ風量で真っ直ぐ送られている風が、みなさんの息です。
テープの根本=舌根 こそくくりつけられ固定されていますが、
そのテープのもう片方の端っこ=舌先 は脱力状態です。
これと全く同じことが口の中で起こっているのです。
巻き舌を習得するメリット
巻き舌ができることで、様々なメリットを享受できます。
主に以下の3つです。
1・舌や喉の脱力を手助けしてくれる
2・練習の過程で舌の扱いがわかるようになる
3・声の響きが良くなる
逆に巻き舌ができるから損なことはありません。
できなくても練習するだけで、できなかった色んなことが並行してよくなっていくことの方が多いため、
ぜひ挑戦だけでもしてみてください。
巻き舌ができない理由や原因
巻き舌ができない人にはある程度共通した特徴があります。
ひとつずつ確認していきましょう。
舌の筋力が弱い・使い方がわからないから
巻き舌は「舌先を細かく振動させる」ことでできます。
これができない理由の一つは、舌の筋肉がうまく使えていない、
または筋力が不足している場合です。
また、舌を柔軟に動かす感覚が日常生活であまり養われていないと、
そもそも「振動させる」ための動作指令自体がうまく出せないこともあります。
特に、日本語話者にとっては巻き舌を使う場面が少ないため、
筋力というより「運動経験の不足」の影響が大きいかもしれません。
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息の出し方が合っていないから
もう一つの大きな要素が「息の使い方」。
巻き舌には、一定の息の流れと圧が不可欠です。
これが弱すぎると舌が動かず、
強すぎると口周辺が力みやすくなってしまいます。
また息がさまざまな方向に分散してしまうと、まとまった息が吐けなくなり
舌に息が当たらなくなってしまいます。
つまり、腹式呼吸や息のコントロールが不安定な場合、巻き舌にも影響が出ます。
ボイストレーニングで呼吸の基礎を学ぶ意義がここにもあります。
巻き舌を上達させたい人用ボタン
緊張や力みが強すぎるから
巻き舌ができない人に共通するもう一つの特徴は、
「口や喉、顔まわり全体の緊張」が強いことです。
舌は非常に繊細な器官なので、周辺が力んでいるとうまく動かすことができません。
特に歌の練習中は、「うまくやろう」と思うほど無意識に力が入りがちです。
力を抜くことは簡単なようでいて、意識しないと難しい作業です。
巻き舌ができない理由がわかったら、次はそれを一つずつ解消していく段階です。
焦らず、楽しみながらチャレンジしていきましょう。
「できた!」の瞬間は本当に嬉しいものですよ。
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巻き舌のヒント
巻き舌をできるようにするために、ポイントを分けてご説明します。
「これはできてるな」「これはできてないかもな」など自身の現状と比較しながら見ていきましょう。
舌を“震わせる”感覚を育てる
次のステップは、実際に舌を使って振動の準備をします。
ここで重要なのは「巻く」より「震える」こと。
根元はしっかり固定して先端は力を抜いておくとうまくいきやすいです。
まず試したいのはエンジン音のような「ドゥルルルルル…」という舌先の震え。
この時、舌先は上前歯の裏側に当たらないようにします。
日本語のラ行の発音のような位置ですね。
少し舌が跳ねるような感覚があれば正解です。
息の勢いと位置のバランスがぴったりハマると、ふいに「ルルル…」と舌が震え出すことがあります。
その瞬間を逃さず、少しずつ感覚を定着させていきましょう。
舌の正しいポジションとは?
そもそもみなさんは正しい舌のポジションをご存知ですか?
人間の舌は口を閉じた状態では“上”にあるのが正常です。
顔を今ご覧の端末の画面に対して右に向けた時、舌が“S”のような形になります。
その時先端より少し手前の部分が軽く上顎に触れていたら、正解です。
普段からその位置に舌を配置できていない場合、筋力自体が少ない可能性があります。
舌の筋力が少ないと舌が喉に落ち込むことがよくあります。
まるで舌を丸呑みしている最中かのように、根元が奥に入り込み、
舌先の長さが足りなくなって、結果息を無駄にたくさん吐いて、
力みやすくなるという悪循環になってしまいます。

巻き舌のやり方
ここまでは仕組みやヒントについてお話ししてきました。
では実際にどうやって練習するのかを見ていきましょう。
舌根の位置
舌根とはその名の通り舌の根本のことを指します。
ここが喉に落ち込んでしまうと、震えるはずの舌先が短くなり、震えにくくなってしまいます。
できる範囲で脱力したまま、舌根を飲み込まない・少し持ち上げる 意識でいましょう。
舌根が正しい位置にあるかどうか、目視で確認できるポイントがあるとすれば“喉”です。
カエルのようにゲコゲコする部分(喉から顎にかけてのカーブしているところ)が、
巻き舌をしている間はギュンと上に持ち上がるはずです。
意識や目視だけじゃ難しい場合はこちらの手順で舌根を持ち上げてみてください。
1・舌先を下の歯の裏に当てる
2・口からはみ出ていいので、出るとこまで舌を押し出す
3・上の歯と舌の間は少し空けておく
4・その顔をキープしながら駄々を捏ねる子どものような声を出す
舌先の位置
次に舌先の位置を見つけます。
日本語のラ行を言うとき、完全な舌先よりも少し手前の部分が上顎に一瞬くっついて離れると思います。
その動きが巻き舌と非常に近いです。
「ら」と発声する直前のところが巻き舌のスタート位置だと思ってください。
また、緊張して固まっていると上手く振るえないので、舌先の力を抜いてください。
強制的に脱力させるためには、舌を疲れさせるといいので
舌をぐるぐる回したり、動かしてみてください。
息の流し方を練習する
巻き舌は「息の質」で大きく変わります。
強すぎると押し倒してしまい、弱すぎると震えません。
最適なのは、腹式呼吸でコントロールされた「安定した持続的な息」です。
また、「息の向き」も重要な要素です。
左右に分散してしまったり、まとまりが弱いと上手く振るえません。
正しい息の向きは上顎の真ん中をまとまって伝うような感覚です。
お腹を殴られて「う゛っ…」となった時、上顎に声が当たりませんか?
その位置に空気が通ります。
更にその空気を細くするようなイメージで吐くと上手くいきやすいです。
巻き舌を上達させたい人用ボタン
全てを組み合わせる
上記の全てを組み合わせて練習してみてください。
1・舌根を持ち上げる
2・舌先を脱力し「ら」の位置に準備
3・上顎を狙って安定した息を吐き続ける
脱力の感覚を身につける
ここまで色んなことを話してきましたが、
やはり一番大事なことは「脱力」です。
巻き舌は“力で動かす”のではなく“震える状態を作る”ことが大切なので、
舌の周辺がカチコチだとまず無理です。
おすすめなのが「アホ面」でいること。
必然的に顎や舌の力が抜けるはずです。
最初は鏡を見ながら行うことをおすすめします。
顎や喉に力が入っていれば首が筋張ると思うので、
筋張らないようにツルツルの首を目指して行ってみてください。

よくある質問 Q&A
Q1. 巻き舌が全然できません。才能がないんでしょうか?
A. 才能ではなく「経験不足」や「力のかけ方の問題」であることが多いです。
巻き舌は、生まれつきできる人もいますが、できないからといって諦める必要はありません。
舌の筋力や息の使い方、脱力などのポイントを押さえれば、誰でもできるようになる可能性があります。
Q2. 舌を震わせようとしても、全く動きません。何が原因ですか?
A. 舌の筋力不足・舌先の緊張・息の流れの問題など、複数の原因が考えられます。
舌が動かないのは「筋力不足」だけでなく、「正しい舌のポジション」や「余計な力み」があることも原因です。
まずはリップロールなどの練習で“震える”感覚をつかむことから始めましょう。
Q3. 息を強く出せば震えますか?
A. 息は「強さ」より「方向」と「持続性」が重要です。
巻き舌に必要なのは、強い息ではなく、腹式呼吸で作られた安定した息の流れです。
息の方向も、上あごの中心を通るように意識しましょう。
Q4. 舌の正しい位置ってどうすればいいんですか?
A. 舌の先端より少し奥が、軽く上あごに触れているのが理想です。
舌が下に落ち込んでいたり、喉の奥に引っ込んでいたりすると、巻き舌はしにくくなります。
正しいポジションを保つことで、舌が動かしやすくなります。
Q5. 練習中にどうしても力んでしまいます。どうしたらいいですか?
A. 脱力を最優先に意識しましょう。
舌・口・喉・首に力が入っていると巻き舌はできません。
アホ面をしてみる、背中で腕を組んで姿勢を正すなど、力みを取る工夫が効果的です。
まとめ
巻き舌ができないのは、「才能」ではなく「経験不足」や「力のかけ方の誤り」であることが多いです。
だからこそ、正しいプロセスで練習すれば、誰でもできるようになります。
脱力して 舌の位置と感覚を整えて 息の流し方を調整する
この3ステップを繰り返すだけで、少しずつ感覚が開けてくるはずです。
できた瞬間のあの「震えた!」という喜びを、ぜひ味わってください。
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